理事長挨拶

2020年の年頭のご挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。
年が明けると早速ゴーン事件が発覚し引き続いてイラン問題が勃発して世界を震撼させています。医療の世界では医療の経済性や環境問題や医療の安全性に絡んだ問題が引き続き問われています。そのような世界事情の中でJPSTSS学会を考えてみたいと思います。
 第1回学術集会は27年前1994年に脊椎外科の手術手技研究会として発足して第6回学術集会1999年から日本脊椎・脊髄神経手術手技学会と改称しました。日米の側彎症学会がHarrington instrumentationの開発発展とともに発足したように当学会はpedicle screwing surgeryの開発発展と時を同じくして発足して今日に至っています。
発足当時より三原則1.個人主体の参加2.整形外科と脳神経外科の集学3.世界同時進行を掲げてきました。会員は700余名で80%が整形外科医で20%が脳神経外科医です。
 原則1の個人主体の参加とは日本独特の大学医局制度をバックにしたり、あるいは大きな病院施設組織をバックにした参加でなく、学術集会会長もそれら組織をバックにしなくても務められる学会組織であることを意味しています。例えば開業医であっても本人以外手助けする人がいなくとも学術集会開催運営が可能であります。過去に二人の学術会長がそうであった実績があります。この学会では一般病院の私的公的を問わず部長が学術会長となることは容易な案件です。ここは他の脊椎外科関係の学会とは明確な違いであると認識しています。原則2は結構複雑であると実感しています。欧米特に米国では二者は混然と混じって脊椎外科医spine surgeonとなっています。一方わが国では両者の融合の進行は遅々たるものであると思われます。それは両者が一緒に共同作業することはまれで脳神経外科医にとって新しい技術であるspinal instrumentationを学ぶ機会が少ないからです。日本の医局制度によって両者の交流が制限されるからだと思います。これを打破するためにこの学会の存在意義が大いにあるのだと考えられます。一方両者の所属学会は整形外科系と脳神経外科系に明確に分かれているので欧米と異なり日本では互いの情報の交流が極めてまれです。整形外科医が脳神経外科spine surgeryの最新情報を得るには欧米のspine surgeryの学会に出かけていくしかありません。当学会の存在意義は日本にいながらにして両者の最新情報が得られるということにあると思います。原則3の世界同時進行は非常に重要な本学会のタスクで毎年多数の欧米から講師を招待してきました。アジアとの交流も必要であると十分に認識していますが現段階では包容力のある他学会にお任せしたいと考えています。他方刻々と急速に変わりつつある極東アジアからの情報は当学会の実質的なパートナーである関連企業から適時導入されていると認識しています。
 以上振り返ってみて三つの原則は十分に守られ、十分その効果は実現されてきていると考えています。2017年に新組織図を発足しました。初心の志を忘れないでlegacyの継続とfinancial stability を得る目的で統合本部中心の組織を形成しました。その結果としてfinancial stabilityは相当程度の効果は得られましたが学会のgovernanceについてはいまだ安定的な方策は得られていないと考えられます。この学会は(学術学会)-(会長・会員)-(企業)の三方良しの精神でgovernanceしてきましたが、今後10年を見据えてもこの精神は持続していきたいと考えておりますので、オリンピックイヤーの学会の在りかたについて新しい提案を提供したいと考えています。

理事長  熊野 潔 

略 歴

氏名 熊野 潔
学  歴
1963 東京大学医学部卒業
1965-1971 N.Y. Albany medical centerにてinternship &orthopedic residency.
1971 Diplomate of American Board of Orthopedic Surgery 認定
1977-1982 東京大学整形外科講師
1982-2001 関東労災病院整形外科部長
2003-2008 フジ虎ノ門整形外科病院長
2008-現在 品川志匠会病院脊椎顧問
学会長歴
1980 第13回日本側弯症研究会会長
1994 第1回脊椎・脊髄神経手術手技研究会会長
1995 第2回脊椎・脊髄神経手術手技研究会会長
2000 第7回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会会長