統合本部理事ご挨拶
統合本部理事より法人化の報告と本学会の現状と今後について説明いたします。
一般社団法人 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会JPSTSSの目指す方向
統合本部理事長 山崎 昭義
2024年10月吉日
日本脊椎・脊髄神経手術手技学会(JPSTSS)は1994年に第1回学術集会を東京で開催し、2023年には、さらなる社会貢献を目指して、非営利の一般社団法人となり、2024年には第31回学術集会を宇都宮市にて盛会裏に終了致しました。創設当初から、多大なる情熱をもって御尽力されて来られた熊野潔前理事長から、私山崎昭義が、新理事長の大役を仰せつかりました。脊椎外科医として33年、病院長として15年以上経過し、今なお臨床の最前線で手術をやり続けております。日々課題や問題意識を持ち、老いつつある自分と向き合いながら、更なる向上を目指して現在進行形で葛藤し続けております。新しいステージで、全身全霊をかけて本学会を盛り上げていこうと決意致しました。至らぬところも多々あるとは思いますが、御支援、御協力の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
本学会の特徴は、創設者の熊野潔現最高顧問による以下の3つの理念が柱になっています。
1:個人主体の学会参加
2:整形外科と脳外科の集学
3:世界と同時進行
1は、わが国特有の、いわゆる大学や病院の医局による垣根を打破し、しがらみに左右されず、独立した個人として意見や技術を発信しよう、という意味です。同じ医局内であっても、違う考えを持つのは当然であり、その個人の個性は尊重されるべきです。違った意見や技術をぶつけ合い、切磋琢磨し、お互い成長していく場が、JPSSS学会です。大きな学会の様に、医局の看板を前面に出して、大きなNでものを言うのではなく、たとえ1例でも新しい技術や工夫を深堀して共有するのが、JPSSS学会です。従いまして、質問に立つときは、所属する病院名でなく、地名を言ってから、発言してもらいます。また、学会発表後にはすべての演題で拍手をすることがJPSTSS学会のルールです。一般演題でも教育講演やセミナーなどの講演と同等な価値ある発表です。学術集会ではすべての発表者を個人としてリスペクトすべきと考えています。
2については、海外では脊椎外科医はSpine Surgeonですが、わが国では診療科という垣根のために整形外科医と脳神経外科医に分断されて来ました。「整形外科と脳神経外科の集学」により、二科間の垣根を打破し、神経組織を扱うことからスタートした脳神経外科医、筋骨格組織からスタートした整形外科医が互いに学びあい融合することにより、同じ頂に向かって、新たな一歩が生まれています。
3の、「世界と同時進行」は、国境という垣根を打破し、海外の知見を遅滞なく取り入れ、また、本邦からも海外へ向けたinnovationを発信し、一緒に進歩しようという意志です。第1回学術集会以来、海外講演者が多数参加しており、彼らにも発表が理解できる様に、発表スライドは英語で作成してもらっています。
「世界と同時進行」には、派生したもう一つの意味があります。それは医師の世界と器械会社などの学会賛助組織の世界との同時性です。私たちの手術はinstrumentation、顕微鏡、内視鏡、ドリルなど様々な器械失くしては成り立ちません。しかも、これらの多くが海外から輸入されるものです。海外の学会展示場で見たものが、遅れて日本に入って来ますが、そのラグを最小限に出来る様、働きかけて行きましょう。立場は違いますが、垣根を越えて手術を支える業者と共に発展しようという思いがJPSTSS学会にはあるのです。
以上の様に、医局、診療科、国、医師業者間にある垣根をできるだけ取り払うことを、本学会では目指しています。
脊椎手術のプライオリティを維持するためには、脊椎手術が幸福な人生には必須であることを社会に認知してもらわなければなりません。この使命を達成するために、JPSTSS学会は法人化により社会貢献する体制が強化されましたので、ともに前進して行きましょう。今後とも皆様のさらなるご支援、ご協力を何卒宜しくお願い致します。
法人化のご報告と一般社団法人脊椎・脊髄神経手術手技学会-JPSTSSについて
統合本部理事長 2023年
日本脊椎脊髄神経手術手技学会(JPSTSS)は1994年に第1回学術集会を東京で開催し、2023年には第30周年記念学術集会を東京にて盛会裏に終了いたしました。この節目に、さらなる社会への貢献を目指し一般社団法人となりましたので会員の皆様にご報告いたします。
一般社団法人とは「一般社団法人及び一般社団法人に関する法律」に基づき設立された法人を指します。株式会社などと違うのは「営利を目的としていない」という点で、「一般社団法人」は非営利法人と呼ばれます。法人化により、JPSTSSの業務、財務、人事に関して、これまでの曖昧であった部分が明確化されました。いわゆる“政治的判断”により決定される事項が減り、より科学的・民主的になるということです。詳細は定款や細則にありますのでそちらをご覧ください。したがって、今後は会員の皆様のJPSTSSへの参画がますます重要となってまいりますのでよろしくお願いいたします。
次に統合本部としてJPSTSSの現状と今後について述べたいと思います。
JPSTSS学会の特徴はユニークであること、すなわち独自性にあります。それは創設者の熊野潔理事長による当学会の以下の3つの理念が基礎になっています。
1:個人主体の学会参加
2:整形外科と脳外科の集学
3:世界と同時進行
「個人主体の学会参加」とは 我が国の医療界における大きな構造である医局によるヒエラルキーに支配されず、外科医個人として独自の意見や技術を発信しようという意味です。その帰結の一つとして、一般には学会長は医局トップである大学教授が多いのですが、JPSTSSでは多くの一般病院部長やクリニック院長が歴代大会長を務めています。
学会発表後にはすべての演題で拍手をすることがJPSTSSのルールです。発表時間の短い一般演題も教育講演やセミナーなどの講演と同等な価値ある発表です。学術集会ではすべての発表者を個人としてリスペクトすべきと考えています。
海外では脊椎外科医はSpine Surgeonですが、わが国では診療科という垣根のために整形外科医と脳外科医に分断されていました。「整形外科と脳外科の集学」により軟らかい組織を扱うことからスタートした脳外科医、固い組織からスタートした整形外科医が互いに学びあい融合することにより新たな進歩が生まれています。
「世界と同時進行」は海外の知見を遅滞なく取り入れ、本邦からも海外へ向けたInnovationを発信し、いっしょに進歩しようという意志です。第1回以来、過去の学会では海外講演者が多数参加しており、彼らにも発表が理解できるようにスライドは英語での作成といたしました。
「世界と同時進行」には派生したもう一つの意味があります。それは医師の世界と器械会社などの学会賛助組織の世界との同時性です。私たちの手術はInstrumentation、顕微鏡、内視鏡、ドリルなど様々な器械失くしては成り立ちません。手術を支える業者と共に発展すべきという思いがJPSTSSにはあるのです。協賛業者への配慮を明言する学会は多くありません。協賛する側とされる側という二元論は見直すべきではないでしょうか。
コロナ禍により人工関節手術や脊椎手術の優先順位を図らずも知ることとなりました。ウクライナ、ガザでの戦争により世界は不安定化し、手術のトリアージが再び行われる可能性は否定できません。そのような事態においても脊椎手術のプライオリティを維持するためには、脊椎手術が幸福な人生には必須であることを社会が認知せねばなりません。この使命を達成するためJPSTSSは法人化により社会貢献する体制が強化されましたので、今後とも皆様のさらなるご支援、ご協力を何卒よろしくお願いいたします。