JPSTSS 一般社団法人 日本脊椎・脊髄手術手技学会

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6th Europe tour report ❶

第6回欧州手術見学ツアーレポート❶
2018年9月16日~9月21日に実施した第6回欧州手術見学ツアーを参加者3名がレポートいたします。

第6回欧州手術見学に参加して 東京大学医学部附属病院 整形外科 佐藤 雄亮

 2017年の第24回JPSTSS学術集会(新潟市、山崎昭義会長)にて、三楽病院での仕事をまとめた「Surgical Strategy and Retrospective Analysis of Staged Posterior Osteotomy for Adult Spinal Deformity」がベストペーパー賞を頂きました。その副賞として第6回欧州手術見学旅行に参加させて頂きましたのでご報告させてもらいます。

●9月15日

 9月15日深夜の羽田空港を出発、パリのシャルルドゴール空港を経てトゥールーズのブラニャック空港にコンダクターの熊野潔先生、山崎昭義先生、マネージャー熊野洋先生と東京大学大学院生永田向生先生と9月16日早朝に到着しました。トラブルにて宮本敬先生はバルセロナからの合流となりました。初日は市内観光の後翌日手術見学を予定していたCentre Toulousain Rachis, Polyclinique du ParcのSebastien Charosky先生と翌日の症例のプレゼンテーションも兼ねた食事会でした。ブラッスリーでの食事は大変美味しかったのですが、昼からワインを2本開けていたこともあり完食できなかったのが悔しかったです。

●9月17日

 翌9月17日は朝からCharosky先生の手術見学を行いました。3-4年前にT12から骨盤まで固定している50代女性の症例で、PIが90以上と非常に大きく、代償できなくなりPJKを来したため再手術を行いました。T3まで固定を延長し、LLをかせぐためL5でのPSOを行いました。脊柱変形が専門の先生ですが、普段一人で手術を行われており、非常にスピーディに手術は進みました。胸椎はあまり動かないため、右T3フック、左T4・右T5・左T6椎弓根スクリューの様にスキップで固定したり、non touch technique (感染対策で術野を手袋で触らない)、洗浄をしない(時間がもったいない)など、初めてみるようなことばかりでした。手術は4時間半程度で終了し早かったです。この日は術後にマドリッド経由でバルセロナに入りました。ストームでなかなか飛行機が飛ばず、深夜の到着となりました。宮本先生と学会事務局の瓦間さんと無事合流できました。

●9月18日

 9月18日は12th IGASS forumに参加しました。テーマは”Spinal Infections”と題して、”Specific Infections”, “Unspecific spontaneous Infections 1 and 2”, “Postoperative Infections”の4つのセッションで合計16演題の発表を行いました。筆者は東京大学医学部附属病院での症例 “Emphysematous osteomyelitis of the spine”を発表しました。腰椎気腫性骨髄炎の症例で、ペースメーカーのためMRIの撮像ができず、治療方針の決定に難渋し複数回手術治療を行い最終的に治癒が得られたことをCharosky先生の座長の元発表しました。その他にも今回の参加者を含め日本から合計6演題を発表しました。

●9月19日

 9月19日は手術見学が中止となってしまいサグラダファミリアなど市内観光を行い、9月20日はClinica Sagrada FamiliaにてJuan Carlos Rodriguez Olaverri先生の側弯症に対するAnterior scoliosis correctionというnon-fusion surgeryを見学させてもらいました。Lenke Type 3の20台女性の側弯症の症例に対し、開胸でのMain thoracic curveの矯正の後、後腹腔アプローチにてthoracolumbar curveの矯正を行いました。椎体スクリューを前方に挿入し、ポリエチレンテープで側弯矯正を行うという、不勉強の為初めて見知る術式でしたが、Olaverri先生自身も14例目の執刀ということで夕方まで手術をされていました。20台の症例でカーブ自体も硬く、challengingな症例だとおっしゃっていました。Apex周囲の椎間板は側弯矯正のため切除しており、長期的な経過を知りたいところです。その後助手をされていたneurosurgeonの先生がTarlov Cystの手術を予定されており、非常に興味深かったですが残念ながら時間切れで手術見学はできませんでした。

●9月21日

 9月21日はEurospine 2018に参加しました。The ‘Best of show’ and Award papersに所属元の”In-hospital complication rate following microendoscopic versus open lumbar laminectomy: A propensity score-matched analysis”の講演があり応援に行きました。5つ星の評価をつけさせてもらいましたが健闘むなしくawardはいただけませんでした。その後チーフ大島寧先生以下同門で食事および街の散策をし、帰国の途に着きました。

●全行程を通じて

 トゥールーズ、バルセロナ共にきれいな街で、気候もよく大変楽しく過ごさせてもらいました。これもコンダクターの熊野潔先生、山崎昭義先生、マネージャーの熊野洋先生をはじめ、一緒に参加させていただいた方々のおかげです。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。他国の手術を手洗いまでさせてもらって近場で見学できるというのはなかなかできない貴重な経験でした。Eurospine 2019はフィンランドのヘルシンキとのことで、採択を目標に日々の診療と研究を行っていきます。 (以下、見学中に撮影した画像に加えて、帰国後にOlaverri先生からメールで頂いた画像を追加しました)

佐藤 雄亮

トゥールーズ市庁舎の前でCharosky先生(中央右)と共に

佐藤 雄亮

Charosky先生

佐藤 雄亮

IGASS会場前でCoordinator Ms.Anke HUBER(右から4人目)と共に

佐藤 雄亮

Clinica Sagrada Familia

佐藤 雄亮

Olaverri先生(中央男性)と手術スタッフの方々

佐藤 雄亮

AIS Age26 術前

佐藤 雄亮

AIS Age26 術後

佐藤 雄亮

建設途中のサクラダファミリア

●参考資料

【The case of Rodrigues(pdf:15MB)】

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