JPSTSS 一般社団法人 日本脊椎・脊髄手術手技学会

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4th Europe tour report ❸

第4回欧州手術見学ツアーレポート❸
2016年10月2日~10月7日に実施した第4回欧州手術見学ツアーを参加者5名がレポートいたします。

Bordeauxチーム 磐田市立総合病院整形外科 井出 浩一郎

 JPSTSSの2015年度ヤングベストペーパー賞受賞の副賞として新第4回欧州手術見学旅行に参加させていただきました。そのなかでの、Bordeaux大学での見学内容を報告させていただきます。

井出 浩一郎

Bordeaux大学

2016年10月3日、Bordeaux大学でDr.Obeidの手術見学をさせて頂きました。前日の夕方、Dr.Obeidと大阪医科大学からご留学中の藤城高志先生とBordeaux wineを片手に会食を交え、翌日の症例検討をおこないました。

井出 浩一郎

Dr.Obeidとの会食  左から坂野、Dr.Obeid、藤城、瓦間、井出、佐野、大木(敬称略)

症例は70歳台男性。下肢症状を認め、L4/5の脊椎後方固定を含め3度の手術加療をおこなっている。単純X線像ではL4/5のPLFおよびL3前方すべり、L1の楔状変形がありました。各パラメーターはSVA107㎜、LL49°、PI72°、SS44°、PT28°であり、インプラントの抜去およびL4PSO+T10-iliumまでの固定をおこなうこととなりました。 翌日は8時に手術室へ入室し麻酔が開始されていました。消毒の塗り方や乾燥具合など、手術準備の段階からDr.Obeidのこだわりが随所にみられました。手術はDr.Obeidとresidentとで行っていました。フランスでは術者が右手にメス、左手に吸引管をもち両側の展開をおこなっていました。基本的に術者がすべてをおこない、日本のように助手とチームでおこなうような手術手技でありませんでしたが、展開のスピードがはやく的確で驚きを感じました。

井出 浩一郎

手術風景  Dr.Obeid(左から2人目)と板野先生(右)

既存のPSを抜去すると、左L5PSは椎間孔に入っており、周囲を郭清し、外側からスムーズにPSを再挿入していました。T11からiliumまでPSを挿入していきましたが、スクリューの挿入は片手でおこなっており、骨粗鬆症の強い日本人には危険そうな挿入法でした。対側のPSも反対側から容易に挿入していました。T10はPJK予防にフックが用いられていました。PSOは外側を大きく剥がし、リウエルで荒く掘削していました。掘削量を決めているようではなく、PSOにより椎体を破壊し、コンプレッションで椎体を圧潰させて矯正している印象をうけました。コンプレッションは腰椎部のみのロッドで片側のみでおこなっていました。スクリューの強度を利用した手技に感じました。その他の部位とはドミノを用いて連結しており、変形矯正時のセットスクリューの設置が的確な印象をうけました。腰椎部は3本ロッドとなるように行っていたのも印象的でした。

井出 浩一郎

手術症例a 術前

井出 浩一郎

手術症例b 術後

適宜、術中洗浄をおこなっており、最終洗浄時にはイソジン入りの生食で洗浄していました。 本症例では骨密度が保たれており、腰椎前弯が残っていました。椎体自体のサイズが異なることからも、日本人には適さないであろう手術手技もありましたが、展開や矯正、手術時間など感銘をうけました。また、浜松医科大学での手術手技の良い点も再確認できたことはよかったです。

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