第4回欧州手術見学ツアーレポート❹
2016年10月2日~10月7日に実施した第4回欧州手術見学ツアーを参加者5名がレポートいたします。
Londonチーム 国立病院機構相模原病院整形外科 熊野 洋
JPSTSS第4回欧州手術見学旅行に参加させていただいたので御報告致します。Berlinで開催されるEurospine 2016の直前の2016年10月3日にLondonにあるRoyal National Orthopaedic Hospitalを訪問するグループに同行させていただきました。メンバーは千葉徳洲会病院の北原功雄先生、参宮橋脊椎外科病院の大堀晴夫先生、関東労災病院の東川晶郎先生です。この病院は私が2015年7-9月まで留学していた病院であり、その時にお世話になったRobert Lee先生のご厚意で実現することができました。先生はSpinal Deformity Unitに所属されdegenerative spineを専門にされ多数の論文があります。
10月3日朝8時に病院に到着してscoliosis関連の朝カンファに参加しました。変形矯正で御高名なSean Molloy先生を中心とした脊椎外科医が変形症例の外来及び術前症例を10例程度討論されていました。 9時からは手術を2例見学させていただきました。 1例目はRobert Lee先生による腰椎alignment異常に対する前後方固定術のsecond stageの手術でした。
術前
first stageは3日前にLLIF cage (K2M社製のCASCADIA lateral interbody system)をL2/3, 3/4に挿入されており、今回はL4/5に多孔性のチタン製のBOX型TLIF cage (K2M社製のCASCADIA AN interbody system)を後方から挿入し、O-arm navigationでPPS (EVEREST MIS system)をL2からS1まで刺入してカンチレバーテクニックでlumbar lordosisを作るというものでした。ポイントは固定範囲のすべてのfacetに対してfacet fusionを行う点です。PPSにつくプラスチック製のしなやかな2枚羽がretractor代わりになり専用のデバイスを装着するとfacetを十分展開することができ、ここに骨誘導を図る目的でInductigraftという人工骨を置いていました。先生にお聞きすると前方がfusionしてもfacetがfusionされていなければ腰痛の原因になりうるとのことでした。一昨年留学していた時はFacet WedgeというDePuySynthes社製のfacet fusion用のcageを使用されていました。
First stage 終了時
Second stage 終了時
2例目はMatthew Shaw先生によるL4/5腰部脊柱管狭窄症に対するALIFでした。展開は左下腹部からのretroperitoneal approachで、vascular surgeonが担当しておりました。毎週ALIF症例があるので定期的にapproach surgeonとして呼ばれているとのことでした。開創器はDePuySynthesのSynframeを使用しているところまで確認しましたが、途中でBerlin行きの飛行機の時間の都合で退室しました。
術前MRI L4/5
病院を後にしたのは午後3時過ぎで、英国とドイツでは時差が1時間あったり、passport controlを通過する必要があったりで結局ベルリンに着いたのは午後11時を過ぎていました。翌日はIGASSで発表を2題行い何とか質疑応答を乗り越え、夜のステーキディナー(Grill Royal)に辿り着きベルリンの熟成肉を堪能させていただきました。そのあとはEurospine、シャリテ大学病院での手術見学へと続き非常に勉強になりました。このツアーでお会いした日本の先生方からも非常に刺激を受けinspireされました。このツアーに参加する機会を与えてくださったJPSTSSに感謝を申し上げます。